各種分析手法の情報深さ

表面分析では、固体に電子線やX線、イオンビームなどを照射し、固体とそれらプローブ信号との相互作用により発生する、電子や光、イオンなどからの情報を解析することにより、表面の組成や構造に関する情報を得ることができます。固体表面から得られるこれらの信号は、固体表面との相互作用の種類により、得られる情報深さが異なります。そのためEAGでまとめた各種表面分析手法とその情報深さの図を用いることで、得られる情報深さを手法別に知ることができます。
図中では、表面からの深さを便宜的に「表面(図中赤色)」、「表層(表面より10nm程度:図中黄色)」、「薄膜(表面から100nm程度:図中緑色)」、「厚膜(表面から1000nm程度:図中青色)」、「バルク(固体内部:図中藤色)」とし、各手法別にまとめています。

最表面の構造を調査する手法としては、探針を試料表面に近づける事で、固体表面との原子間力を測定する事により表面の原子配列を調べるAFM(Atomic Force Microscope)があります。また、試料表面上に付着した数十nmオーダーのパーティクルを分析する手法としては、AES分析(Auger Electron Spectroscopy)があります。AES分析は表面から得られる情報深さが、10nm程度であるため、数十nmレベルのパーティクルから得られる信号を取られる事が可能です。同様のケースとして、SEM(Scanning Electron Microscope)でパーティクルを観察した場合、その組成をSEMに搭載されているエネルギー分散型X線分光器EDS(Energy Dispersive X-ray Spectrometer)で測定しますが、EDSの情報深さは1um程度に及ぶため、パーティクルサイズによっては、基板からの情報量が多くなり、パーティクル由来の情報を正確に得ることが困難となります。測定パーティクルサイズに対して、適切な分析手法を選択する事が重要となる例です。

さらに図中では、スパッタリングを併用する事で深さ方向分布を得られる測定手法を矢印で示しています。二次イオン質量分析SIMS(Secondary ion mass spectrometry)は、試料表面に照射する一次イオンのエネルギーを数100eVから20keV程度まで変えることで、着目する深さの濃度分布を評価する事が可能です。

分析の情報深さ、分析領域と検出下限の関係がわかるバブルチャートを併用する事で分析手法を選択するときの目安に役立ちます。

チャートの縦軸、横軸について
チャートの縦軸は濃度を表しています。右縦軸は原子濃度(atomic %)、左縦軸は原子密度(atoms/cm3)にそれぞれ対応します。濃度が低いほど検出下限のよい手法であることがわかります。SIMS,GDMSが最も検出下限の低い手法です。横軸は分析面積(ビーム径)の大きさを表しています。ビーム径が小さいほど微小な領域の分析を行うことができます。TEM/STEMが最も微小な領域を調べることができる手法であることがわかります。

 縦軸の範囲外の手法について
このチャートの中で、縦軸の範囲の外にある手法は(TEM/STEM,SEMなど)形態観察手法です。濃度を求める手法ではないので範囲外に記載されています。ただし、それらの手法にEDSが装備されると濃度情報を得ることができますので、縦軸の範囲内に表記されています。横軸の範囲外の右側に記載されている手法は、特に分析面積の大きな手法です。例えばGDMSは不定形の試料を分析することが可能ですが、平坦な基板形状ですと通常1cmφの面積から検出します。また粉末状の試料でも分析が可能です。

物理限界線について
物理限界線(Physical limit) も図中に示されています。例えば分析面積が10nm x 10nmでサンプリングしている深さが3nmとします。このとき、10nm x 10nm x 3nmの中に存在する原子の数は10000個程度になります。この原子を100%検出できる能力があるものと仮定すると、原子1個が検出された場合の検出下限は100ppm (1/1,0000)になります。これが物理限界です。分析面積(分析体積)が小さくなるほど検出できる信号量が減りますので物理限界濃度が上昇し、検出下限が悪くなることがわかります。

チャートが示す色について
チャートに示された色にも意味があります。赤系統の色で示された手法は化学結合状態や分子情報を得ることができる手法です。青系統の色は元素情報を得ることを主体とする手法です。緑系統の手法は画像情報が得られる手法です。膜厚と密度を同時に得られる手法はXRRですが、黄土色で示されています。RBSでも元素組成以外に膜厚が既知ですと密度を求めることができます。

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