PCOR-SIMS(ピーコール・シムス)って何?

SIMSは、固体材料中に含まれる不純物の深さ方向濃度分布を高感度で調べることができる手法ですが、材料の組成や種類が変わると検出される二次イオンの発生割合も変わり(マトリクス効果)、正確な定量結果は、標準試料と同じ組成を持つ層に限定されていました。PCOR-SIMS(Point by Point Correction-SIMS)は、各種材料に関する膨大な感度係数やスパッタレートなどの情報をデータベース化することで、材料組成の異なる積層膜の各層について、より正確な定量を可能にしたもので、EAGが開発した独自の技術です。通常、1回の測定では、各元素ついてそれぞれ1つの定量感度係数が用いられますので、Si基板あるいはGaAs基板のような単一材料中の定量は問題ありませんが、組成の違う層が基板上に存在する場合には、すべての層についての正確な情報の提供が困難でした。

PCOR-SIMSでは、深さ方向の各点全てに対して定量を行います。定量化のためには多くの実験が必要です。現在PCOR-SIMSが可能なものはGaAs, InP系試料、SiGe系試料、SiO2/Si系試料などです。Siの最先端デバイスでは、最表面近傍の正確な定量化が要求されています。この領域では表面酸化膜の影響も無視できなくなってきています。PCOR-SIMSは、本来はこの領域のより正確な定量化を目的に開発された技術です。今後も分析のニーズに応じて適用範囲も増えていきます。なお、PCOR-SIMSは四重極型SIMSで構築したデータベースに基づいているものなので、磁場型SIMSの測定には適用できません。下記に2つの応用例を掲載しましたのでご参考下さい。

SIMS (二次イオン質量分析)

二次イオン質量分析(SIMS)は、非常に低濃度のドーパントと不純物を検出します。この手法は、数オングストローム(Å)から数十マイクロメートル(µm)までの広い深度範囲にわたって元素深度プロファイルを提供します。

特徴:高感度分析。深さ方向分析。全元素の分析が可能。

定量分析検出感度化学結合状態破壊測定空間分解能/ビーム径深さ分解能
Yes1012-1016at/ccNoYes10µm2〜30nm

SIMSの特長(Dynamic SIMS)

– 高感度!:検出下限値:1E12~1E16 at/cm3
– 検出濃度範囲が広い: マトリックス元素から極微量不純物まで
– 標準試料を用いて、定量分析可能
– 全元素の検出が可能:H 〜 U
– 同位体の測定が可能。
– 良い深さ方向分解能:2nm程度(ベストな場合)
– 測定できる膜厚範囲が広い:”数nmから 数10μmまで。

SIMS 分析の原理

一次イオン種
酸素 (O2+) 又は セシウム (Cs+) 一次イオンを使用。 フォーカスさせた(通常 2~20 μmビーム径 )の一次イオンビームを四角にラスター(スキャン)させて材料をスパッタリングする。 ラスター面積は、通常数100 μm~数10μm角。

二次イオンの検出
ラスター領域から発生した二次イオンの内,中心領域のみを検出する。 その領域サイズは、φ30~150 um。(感度や試料状況で調整)二次イオン系(電場、磁場)で質量分離されたのち、検出器(ファラデーカップ又はエレクトロンマルチプライヤー)で検出。

SIMS 分析の原理

元素の検出:O2+、Cs+ 一次イオン源と検出イオン種

SIMS 装置例:セクターSIMS vs Q-pole SIMS

試料ホルダーと試料サイズ

深さ方向分析

深さ方向分析

EAGのSIMSの特徴(装置)

26台のセクターSIMS,18台のQ-pole装置を保有、材料毎に区分された高感度SIMS装置

– Si及関連材料(SiO2,SiN…)
– III-V (GaAs, InP, GaN, ..)
– SiC and II-VI (HgCdTe, ZnSe ..)
– Metal film (Cu,Ti, W, Al,…)
– SurfaceSIMS and Surface XP
– ULE implant profiling
– 太陽電池材料関連(PV-Si, CIGS…)
– FPD材料関連(有機EL等…)

EAGのSIMSの特徴(標準試料)

豊富な標準試料の種類

Si, SiO2, SiN, SiC, ZnSe, diamond, Ge, GaN, GaAs, InP, HgCdTe, LiNbO3, ZnS, Cu,Cr, Pt, Ti, TiN, W,,TiW, TiSi, Ta, Ta2O5, TaN, Al, ZnO, ZrO, HfO, など

– ニーズに応じて標準試料を作成します。
– EAGでは標準試料の販売も行っています。

なぜ2種類のイオンビームが必要なの?

各種材料中の不純物や、ドーパントの深さ方向濃度分布を高感度に分析する手法として、二次イオン質量分析 (SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)が用いられています。SIMS分析では、分析対象元素や材料にも 依存しますが、ppm~ppbレベルの濃度測定を行う事が可能です。この「測定対象元素や材料に依存する」 という点がSIMS分析では、最も重要であり、その特性をいかに利用できるかが、高感度分析への鍵となります。 つまり、SIMS分析では、固体表面にイオンビーム(一次イオン)を照射し、固体表面から放出された正・負の 2種類のイオン(二次イオン)を検出しますので、いかに効率良く正・負の二次イオンを発生させることが 出来るかがポイントとなります。そのため、正イオン、負イオンのそれぞれの極性のイオン化効率をそれぞれ 高めるため、化学的に活性な2種類の一次イオンビーム(O2+ビーム、Cs+ビーム)が必要とされる訳です。 現在では、正イオンの分析には酸素イオンビーム(O2+)が用いられています。酸素イオンビーム照射による 表面酸化効果により仕事関数が増大し、放出される正イオンへの電子遷移が減少するため、正イオンの発生 効率が高まると考えられています。 一方、負イオンの分析にはCsイオンビーム (Cs+) が用いられています。Csのようなアルカリ金属元素は、 試料表面の仕事関数が低下するため、負イオンの生成確立が高まるとされています。 弊社HPのSIMS分析紹介ページでは、測定対象元素が どちらのイオンビームの測定に適しているかを知ることがきるように、元素の周期率表と分析に用いる 酸素イオンビーム、Csイオンビームの対応表を載せていますのでご参照下さい。

応用事例1:PCOR-SIMS_HDRSM(高深さ分解能PCOR-SIMS)によるBの極浅注入分布測定)

半導体集積回路の縮小化に伴いMOSFETの接合深さが年々浅くなり、2016年に予定されている22nmノードの最先端のロジックLSIでは、6-10nmの接合深さがターゲットとされています。事例1はPCOR-SIMS_HDRによる22nmノードのBの極浅注入分布の評価です。高深さ分解能(HDR: High Depth Resolution)のPCOR-SIMSです。データからGe, Xeによるプレアモルファス化した条件との接合深さの違いがわかります。また、PCOR-SIMSは、従来の分析では測定できなかった酸素もモニターすることができますので、表面酸化膜領域とSi基板との区別が可能になり、これらの領域を全て定量できますのでドーズロスなどの定量的な評価も可能です。また、N型のドーパントであるAsやPの極浅接合についても同様の評価が可能です。

プレアモルファス化条件の違いによる100eV注入のB極浅深さ濃度分布

プレアモルファス化条件の違いによる100eV注入のB極浅深さ濃度分布

応用事例2:PCOR-SIMSによるヘテロバイポーラトランジスタ(HBT)試料の分析

事例2は、ヘテロバイポーラトランジスタ構造試料におけるドーパント不純物と 汚染不純物の深さ方向分析結果を示したものです。材料の種類が異なるエミッタ、ベース、コレクタ層について、それぞれ各不純物濃度を正確に知ることができます(Y軸左)。またエピ/基板界面では汚染不純物がパイルアップしている様子がわかります。更にエミッタ/ベース領域のInやGa組成も同時に求めることができます。(Y軸右)。

InGaP エミッタ HBT構造の不純物深さ方向分析

InGaAs, InGaP, GaAsの各層中で正確な濃度を示しています

応用事例3:PCOR-SIMSによるSi基板上GaN HEMT試料の高感度分析

事例3は、高電子移動度トランジスタとして使用されている、Si基板上のAlGaN/GaN HEMTエピ構造におけるH、C、O、Si深さ方向分布です。PCOR-SIMSを用いることで、各層中の不純物濃度測定に加えてAlGaNバッファ層中の様々なAlとGaの組成比率と各層の膜厚を正確に求めることが可能です。また、デバイスのリーク特性に影響するバリア層中のより正確な不純物濃度を調べることが可能です。

材料試験のための当社のサービスについてもっと知りたいですか?

材料試験のニーズについては、今すぐお問い合わせください:03-5396-0531 または、以下のフォームに記入して、EAGの専門家にご連絡ください。

To enable certain features and improve your experience with us, this site stores cookies on your computer. Please click Continue to provide your authorization and permanently remove this message.

To find out more, please see our privacy policy.