TEM (透過電子顕微鏡)

透過型電子顕微鏡(TEM)および走査型透過型電子顕微鏡(STEM)は、電子ビームを使用してサンプルを画像化する同様の手法です。 TEM分析およびSTEMの画像解像度は約1〜2Åです。 高エネルギー電子(80〜200 keV)は、電子透過性サンプル(〜100 nmの厚さ)を透過します。 TEMおよびSTEMの空間分解能は SEM よりも空間分解能が優れていますが、多くの場合、より複雑なサンプル調製が必要です。

定量分析検出感度化学結合状態破壊測定空間分解能/ビーム径深さ分解能
NoN/ANoYes (Sample Prep)1-3Å (TEM)  6-15Å (STEM)N/A

特徴

– ナノスケールレベルの分解能で構造・形態観察
– 元素像の高分解能マッピング
– 格子像観察
– Zコントラスト像観察

主な応用例

– III-V・GaN系薄膜・ デバイスの断面構造観察及び元素分析 – Si系薄膜・ デバイスの断面構造観察及び元素分析 – その他各種固体材料の形態・構造観察 – 燃料電池触媒の観察 – 有機EL素子等、有機デバイスの構造評価

TEMの原理(結像モード)

TEMの原理(結像モード)

断面TEM観察(W/Poly-Siコンタクト)

TEM-EDSとTEM-EELSの使い分け

TEMはEDSとEELSの二つの元素分析手法で元素分析が可能です。 それでは、どんな場合にどちらを利用するとよいのでしょうか。 一般にEDSは全元素同時測定が可能なため、元素分析を簡便に行えるのはEDSになります。そのため、“そこに何があるのか調べたい”という要望の場合にはまずはEDSでの評価をお薦めします。これに対してEELSは状態分析が可能&高エネルギー分解能を持っています。さらには軽元素に強いという特徴を持っています。そのため、あらかじめ測定したい領域に存在する元素がほぼ分かっており、その状態(酸化の有無など)を知りたいという場合や、EDSではエネルギー分解能的に区別できない元素(例えば、NとTi)を分析する場合などにEELSが有効です。

まとめると、測定したい箇所にどのような元素があるか未知の場合は、EDSでまずは測定するのが良いかと思います。EELSは測定したい箇所にどのような元素が存在するかすでに分かっており、追加の情報としてその状態を知りたい、といった場合に使われる形になります。尚、EELSは感度よく評価できる元素が限られているので、測定をご希望の際は事前にEELS評価可能かどうかを確認しておく必要があります。そのようなこともあり、一般的に故障解析や、界面の急峻性を調べるなどの用途の場合は、EDSの方が多く用いられています。

EDS エネルギー分散型X線分光法 EELS 電子線エネルギー損失分光法
検出下限 %オーダー %オーダー
空間分解能 2nm前後1nm前後(若干EDSより良い) 1nm前後(若干EDSより良い)
エネルギー分解能 130eV前後 1eV以下
長所 全元素同時分析が可能 比較的重元素に強い 状態分析が可能 比較的軽元素に強い
短所  エネルギーが近接する元素の同定が困難 重元素が苦手 広範囲の元素を同時に分析するのは困難
主な用途 故障解析、構造確認  軽元素分析、状態分析

EDS分析

平面TEM: Al膜のグレインサイズの観察

TEMとSTEMの違い(使い分けについて

ときどきお客様に、TEMとSTEMはどのように使い分けるのですか、と尋ねられることがあります。それでは実際のところ、各々どのような場合に用いると良いのでしょうか? それは両者の特徴を考えると分かってきます。TEMは基本的に回折コントラスト(散乱コントラスト)が像に大きく寄与します。STEMは、HAADF像(Z(原子番号)コントラスト像)が得られる特徴があり、組成情報を反映した像が得られます。HAADF像は散乱された電子線で結像すること自体はTEMと似ているわけですが、TEMのように特定の方向ではなく、ドーナツ型の検出器を用いますので、360°ぐるりと散乱した電子を取り込むことができます。そのため回折コントラストの影響はかなり弱められ、STEMでは組成のコントラストが強くなります。このことから考えると、TEMは試料の結晶性に関する情報を主に得たい場合に、STEMは試料からその組成に関する情報を得たい場合に用いると良いことが分かります。

サファイア基板上のGaN膜の観察例(同一試料をTEMとSTEMで観察)

TEM image HAADF image
図1a:TEM像 図1b:HAADF像 (Zコントラスト像)

図1aでは、界面に存在するひずみによるコントラストや、欠陥の様子が良く分かる一方、基板とGaN膜自体では明確にはコントラストの差は認識できません。一方図1bにおいては、図1aで見られた欠陥、基板界面のひずみといった回折コントラストに起因するコントラストはほとんど見られていません。その代わり、基板とGaN膜そのもののといった組成の違いによるコントラスト差ははっきりついているのが分かります。このことからもわかるように、TEMは回折コントラスト(結晶に起因)に関係する像を見たい場合(例.欠陥評価、電子線回折測定、グレインサイズの評価、etc)に向いており、STEMは、組成に起因するコントラストに関係する像を見たい場合、(例、化合物半導体の積層構造の確認など)に用いると有効であることが分かります。また、STEMは電子線プローブを走査できることから、EDS,EELSといった面分析を行えること、TEMに比べると比較的TEM試料厚さが厚くても像の確認ができることから、故障解析などで、TEM試料を少し厚めにして作製し(内部に異常部を挟み込むように)観察するようなケースにも多く利用可能です。参考としまして、下記にTEMとSTEMの光学系を示します。

TEM and STEM optics

TEMによるMg注入GaN結晶ダメージ評価

窒化ガリウム(GaN)はパワーデバイスの材料として盛んに研究・開発が進められています。近年、GaN基板を用いた縦型バイポーラトランジスタの研究の中でMgのイオン注入でp型形成が試みられておりますが、Mgが活性化しないなどの課題があります。今回基礎的な検討として行った、Mgのイオン注入によるGaN結晶のダメージと熱処理後の結晶性の変化をTEM(透過型電子顕微鏡)により評価した事例をご紹介いたします。

窒化ガリウム(GaN)はパワーデバイスの材料として盛んに研究・開発が進められています。近年、GaN基板を用いた縦型バイポーラトランジスタの研究の中でMgのイオン注入でp型形成が試みられておりますが、Mgが活性化しないなどの課題があります。今回基礎的な検討として行った、Mgのイオン注入によるGaN結晶のダメージと熱処理後の結晶性の変化をTEM(透過型電子顕微鏡)により評価した事例をご紹介いたします。

TEMによるMg注入GaN結晶ダメージ評価

一方下の観察結果は、1e14注入試料のアニール前後のものであり、as-impla試料では注入ダメージが殆ど確認できていないのに対して、アニール後では、逆に所々に欠陥が顕在化している様子が確認されました。

このようにTEMでは、イオン注入前後、アニール前後の結晶性の評価を視覚的に行うことが可能です。

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