各種ウエハ表面の金属汚染の評価に適した手法です

全反射蛍光X線分析の紹介

全反射蛍光X線分析(以下TXRF)は、様々な半導体ウエハ表面の微量金属汚染の評価に用いています。この分析手法は1971年に米田氏と堀内氏によって分析原理を提唱されました。その後、半導体業界のニーズに応えるために分析装置の開発が行われ、1980年後半にTXRF分析装置が市販され、現在ではウエハ表面の清浄度の管理で広く使用されています。

分析原理

TXRF分析は蛍光X線分析(以下XRF分析)を発展させた分析手法で、X線を用いて表面汚染の評価を行います。X線はご存知の通り、物質への透過力が非常に強い性質があります。一般にXRF分析では、X線を分析試料に照射すると、分析試料の表面から深さ数100μm程度までの元素を励起し、主にバルクの元素情報が得られます。

一方、TXRF分析では、X線をウエハに対して低角(例えばSiウエハでは0.187°以下)で入射し、入射X線を全反射させて励起される元素の深さを最表面に限定し、ウエハ表面の汚染元素から発生した蛍光X線を測定して汚染評価を行います。

またTXRF分析の検出器はウエハに由来する強い蛍光・散乱及び照射X線の反射による検出器の飽和を避けるために、ウエハに対して鉛直方向に設置しています。ウエハ表面は滑らかで平坦な表面が好ましく、例えば8インチSi基板の裏面側のように凹凸の大きい表面状態では、散乱X線の強度が高くなり、バックグランドが悪くなる特長があります。

各種ウエハに対応

ウエハ表面の微量金属汚染の評価では、気相分解を用いたICPMS分析(VPD-ICPMS分析)も広く一般的に使用されますが、分析可能なウエハはSiウエハのみに限定されます。一方、TXRF分析は主にウエハ表面の汚染元素からの蛍光X線を測定しているため、様々なウエハに対応できるのが特長です。

全反射蛍光X線分析(TXRF)とは?

全反射蛍光X線(Total Reflection X-ray Fluorescence)は、X線を非常に低い角度で試料表面(ウエハ表面)に入射すると、X線が試料表面で全反射されることを利用して、試料表面の金属汚染を分析する方法です。

全反射蛍光X線分析(TXRF)とは?

TXRF分析の特長と制約

特長
– 汚染元素の定性分析(サーベイ分析)が可能である
– 定量、高感度分析である
– 非破壊分析である
– 高速/自動分析である
– フルウエハ分析(300 mmウエハまで対応)が可能である
– 2次元マッピング分析が可能である
– Al, NaおよびMgも測定可能になりました
– ウエハのエッジ部も測定可能になりました 制約
– 深さ情報(デプスプロファイル)は得られない
– スポットサイズは約φ10 mmである
– 高感度分析では研磨した表面が必要である
– 基板のマトリックス元素から発生したスペクトルの影響で、検出下限は測定元素によって悪くなる場合がある

ターゲット(X線源)の選択

分析事例1:ウエハのマッピング分析

TXRF分析はマッピング分析を行うことが可能です

分析事例2:化合物半導体ウエハ表面の分析

TXRF分析は様々な基板を分析することが可能です

分析事例3:イオン注入前後のウエハ表面汚染の比較

TXRF Results(Units of 1e10 atoms/cm2)

 SCLKCaTiCrMnFeNCuZn
Control Wafer
Center
125±11118±9< 10< 10< 1.1< 0.6< 0.50.4±0.2< 0.3< 0.3< 0.4
Implant Wafer
Center
270±19390±20< 10< 10< 0.91.5±0.3< 0.46±0.5< 0.3<0.50.7±0.2

12インチウエハサイズまで測定できます。マッピングも可能です

表面金属汚染分析で使用する単位について

表面金属汚染分析では、あまり馴染みのない単位を使用しています。一般的にSIMS分析などで使用する単位はatoms/cm3(体積密度)ですが、表面金属汚染分析ではatoms/cm2(面積密度)を用いています。この単位を解りやすく言うと、「単位面積あたりにどれだけの汚染原子がウエハ表面に存在しているか(付着しているか)」と解釈すると理解しやすいと思います。

金属汚染(atoms/cm2)を金属の球体に変換するとどのくらいの大きさ?

ウエハ表面の金属汚染量は面積密度で表記されていますので、どの程度の金属汚染量なのかイメージしづらいと思います。ここで客観的に理解するために、金属汚染量(atoms/cm2)を金属の球体に変換したときの球体の大きさについて考えてみたいと思います。例としてウエハ表面に銅汚染が1E10 (atoms/cm2)存在した場合について考えたいと思います。この汚染量を銅の球体に変換には、アボガドロ数などを用いて変換することができます。計算すると、球体の半径は0.3um程度と求まります。サブミクロンの小さな金属のパーティクルが一つ存在しただけであってもE10台(atoms/cm2)の汚染になることが分かります。

TXRF分析のマッピング分析について

デバイスは様々なプロセスを経て作製されます。プロセスからの汚染の形状や発生場所はプロセスごとに異なります。そのため、金属汚染がどの場所で発生しているかを把握することはプロセスの改善のために非常に重要です。例えば、酸化炉や拡散炉では、ウエハと石英ボードが接触している部分に金属汚染が発生する場合があります。またウエハの搬送時には搬送用ベルトからの汚染が付着する場合もあります。
TXRF分析はウエハ面内のマッピング分析が可能で、プロセスからの汚染の有無を判定することが出来る特長があります。

TXRF分析の情報深さと汚染形態の影響について

TXRFの情報深さはどのくらい?
TXRF分析の1次X線の入射角度は半導体ウエハ表面で全反射が起こる角度で照射します。
これにより、半導体ウエハ表面に存在する汚染元素を選択的に励起して、汚染量を調査しています。
巨視的に見ると、1次X線は半導体ウエハの内部に侵入しないので、表面に存在する汚染のみからの
情報を検出していると捉えることが出来ます。

滑らかな試料表面の場合、表面から数nmまでの情報を取得しています。
一方、微視的に実際の半導体ウエハの表面を見ると、様々な形状の汚染が付着しています。
またウエハの表面状態が滑らかな表面ではない場合もあります。厳密に考えると、汚染から発生する蛍光X線は汚染形態やウエハの表面状態に大きく影響を受けます。

汚染形態によって得られるデータはどのように変わるか?
パーティクル汚染、薄い残渣及び膜状に汚染が付着している場合の得られる結果について考えてみたいと思います。
パーティクル汚染や残渣が付着している場合、1次X線が全反射する角度の領域では、汚染物から発生する蛍光X線強度は入射角度によらず一定です。
膜状に汚染が付着している場合は、汚染物から発生する蛍光X線強度は入射角度が高角度になるにつれて増加します。(情報深さが深くなるので、励起している汚染元素が増えるため、蛍光X線強度が増加します)
汚染が厚い残渣や埋め込まれた汚染を分析した場合は、不特定の要因により分析結果の定量値は高くなります。

TXRF分析で仮定している汚染形態
通常のTXRF分析では、測定対象の汚染は薄く均一に分布した状態で試料表面に存在していると仮定して測定を行います。

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